2025-01-13

【屍人荘の殺人】頑張って犯人考えたんだけど【推理編】

ミステリー読書

屍人荘の殺人を読んでいる。まだ読み終わっていない。ページ数で言うと283ページまで読んだ。なんでここで止めてるのかと言うと、ここで登場人物が事件の真相に気付いたようだったからだ。そう、作中で犯人発表が始まる前に自分で推理したかったからここで読むのを止め、最初から繰り返し読み直している。この記事では現時点での自分の推理をまとめようと思う。結局犯人は全くわかっていないが───

以降、「屍人荘の殺人」の内容についての記載あり

 ミステリー小説では外部犯の可能性をなくすため外部との接触が絶たれた場所が舞台になることが多い。雪山の山荘がいい例だ。「屍人荘の殺人」ではその舞台をゾンビで囲まれたペンションで実現している。しかも殺人事件の被害者はまるでゾンビに噛み殺されたような殺され方をしている。まさかミステリー小説にゾンビという超自然的要素が登場するとは思わなかった。
 被害者がゾンビに殺されたなら「そのゾンビはどこから来てどこに行ったのか?」という謎が残るし、人間に殺されたなら「どうやって殺したのか?」という謎が残る。作中でも言及されたけどゾンビが人間並の知能を持っていたら、全ての謎は解決されるがまあミステリー的にそれはないだろう。でもメタ的視点を除けばそれが一番あり得る可能性だよな。もし天才ゾンビが犯人だったら出るとこ出るよ

 犯人はわからないので流石にこいつは犯人じゃないだろうというメンバーを挙げていく。
 まずは剣崎比留子。エピローグで事件後の手紙を受け取っているようでその内容的にも犯人ではあり得ないだろう。事件後も事件を解決するために動いていたし、彼女が本作の探偵枠だろう。
 続いては語り部葉村譲。語り部であることだけが犯人候補から外す理由ではないが、この殺人事件はある程度計画されたことを考えると、元々このペンションに来る予定がなかった葉村が犯人である確率は超低いと見てよい。
明智恭介は序盤でゾンビに襲われて姿を消した。普通に考えると死んだ可能性が高いが「犯人が自分が死んだと見せかけて実は生きていて死者としての立場を利用して自由に動く」という可能性はあるから、死んだ描写があるからといって犯人候補から除くことはできない。しかし、明智恭介も葉村譲と同じ理由で犯人ではないだろう。

 映画研究部の面々は誰しも犯人の可能性がある。死んでいるからと言って犯人ではないとは限らない(明智恭介と同じ理由)。1つ目の殺人事件の被害者である進藤歩は顔が分からないくらいグチャグチャの状態で発見された。顔が分からない被害者がいたら入れ替わりを疑うのは常識だ。作中でもその可能性が指摘されていたけど、髪型とかで被害者が進藤歩であることは間違いないらしい・・・・・・ これで「やっぱり入れ替わってました」とかだったら流石に出るとこ出るよ!?仮に入れ替わりではないとしたらなんで顔グチャグチャにしたんだろう・・・・・・
 動機という観点で一番怪しいのは管理人の菅野唯人だ。本事件は映画研究部の部室に脅迫状が届いたところから始まる。脅迫された理由は去年の合宿である女性部員がOBから酷い扱いを受けて自殺ことだと考えられている。そして菅野唯人は「つい最近妹が事故で亡くなった」「ペンションの管理人になったのは今年から」ということが彼自身の発言からわかる。ミスリードでなければ「去年自殺に追い込まれた妹の復讐のため犯人を殺す計画を立てた」と予想できる。ただこの仮説が正しい場合、なぜ「自殺した女性部員」の相手である七宮兼光を最初に殺さなかったのか?(なぜ関係ない進藤歩と立浪波流也が殺されたのか?)という謎が残る。もちろん殺された2人は別の犯人が別の理由で殺した、とか普通にゾンビに殺されたけど何らかの理由で偶然密室になってしまった、なども考えられる。結局トリックを解かないと何もわからない。

 次に本事件について怪しいポイントを挙げていく。いわゆる伏線みたいな出来事だ。

  • 「今年の生贄は誰だ」という中途半端な脅迫状
     作中でも指摘されていたが本当に合宿を開催してほしくなければもっと直接的な表現を使うのが普通だ。犯人が合宿で復讐を計画していたとすると当然合宿の中止を望むわけがない。つまり脅迫状を出した人間は合宿が絶対に中止にはならない確信がある人物になる。まあOBか部長だろう。でもOBと部長はどちらかというと殺人される側なんだよな・・・・・・ うーんわからん。脅迫状出した人と殺人事件の犯人は別なのかな・・・・・・?
     最初ペンションの空き部屋がほとんどないのが気になった。脅迫状によって「多くの部員が合宿への参加を辞退した」とのことだが空き部屋3室しかなかった。脅迫状の話は本当になのか?と思ったが、嘘であれば葉村たちの参加を認める理由がないし、葉村たち3人を含むと本来の空き部屋は6部屋、合宿に参加した演劇部のメンバーが7人であることを考えると過半数の辞退は十分「多くの部員が合宿への参加を辞退した」と言えるだろう。
  • 消えた時計
     まだゾンビ大量発生する前の軽い事件。合宿メンバーでバーバキューをしている時に地面に置いていた葉村の腕時計がいつの間にか無くなっていた。その時計は妹からもらった大事な時計らしい。そんな時計を地面に置きっぱなしにするなよと思わなくもないが。とにかく途中離席した出目飛雄以外は誰も時計を持っていなかったから、おそらく手癖の悪いことで知られる出目が盗んだのだろうということでお開きになった。
     「時間に関係するトリックがバレないように時計を盗んだ」という考えがすぐ思いつくが、別に時計がなくてもテレビやスマホで見れたからなあ。でも事件に関係ないエピソードを挟むとも思えないし、何かしら後で殺人事件に絡んでくる気もする。でもどう絡んでくるかは全然わからない!
  • 1人目の殺人事件
     鍵のかかった部屋で全身を噛みつかれて殺された進藤。アリバイとか殺された時間とかはあんまり重要ではなくて、「進藤を殺したのはゾンビなのか人なのか?」「ゾンビだとしたらどうやって部屋に入りどうやって部屋を出たのか?」「人だとしたらどうやって殺したのか?」というところが解決不可能だ。やっぱ「実は理性を残したゾンビがいた」が一番簡単だな。QED証明終了。
     それは流石にミステリー小説失格だと思うので、人による殺人だろう。進藤を外に放り出してゾンビに殺させて何らかの手段で回収した・・・・・・?うーん、わからない。
     部屋の外から差し込んだ紙がOBたちをビビらすためなら効果はあった。七宮がめちゃくちゃビビってたからだ。でもターゲットがOBならなんで進藤をゾンビに殺されたように見せかけて殺したのか?みんなが寝てる間に立浪、七宮も殺しちゃえばよかったのに。密室にできるなら犯人発覚も遅らせられるだろうに。
  • 進藤の部屋のデスクライト
     第2の事件が起きる前の晩、葉村の部屋から新藤の部屋を見ると窓から明かりが漏れていたらしい。これは流石に伏線だよな。何もわからないけど
  • 睡眠薬
     2日目の夜睡眠薬が盛られたようだ。なんで1日目にそれをやらなかったんや。1日目に薬盛って殺したい奴全員殺せばよかったやん。
  • 第2の殺人
     これも殺害方法が謎だ。1階で殺されたならゾンビが2階に上がってくるはずだし、エレベーターの中で殺されたなら扉の内側か扉の外に血痕が残っているはずだ。東側の階段にゾンビが詰めかけている以上1階にゾンビがいるのは確定だし、やはり理性のあるゾンビがいるかゾンビの動きをコントロールする方法を犯人が知った・・・・・・?そうなるとゾンビマスター重元充が怪しいが、それはミステリーじゃないよなあ・・・・・・
  • 『あと一人。必ず喰いに行く』っていうメッセージ
     普通に考えれば生き残りのOB七宮兼光のことだろう。なんで一日一殺なんだ?ビビらせるため?まあ逆に考えると1日に1人しか殺せない状況だった、ということか。
  • 向きが変わった9体の銅像
     トリックに使ったんかな。わかんない
  • 剣崎と高木にかかってきた電話
     これは明らかに復讐と関係ない人を助けるための犯人の行動だろう。剣崎が電話口にゾンビたちの声を聞いたということはやはり犯人はゾンビをコントロールできるところにいる、ということだろう。「1階はゾンビまみれで人はいない」というのがいろんな推理の根拠にになっているが、1階の部屋、例えば管理人室や大浴場が無事ならばそこに犯人が潜むことはできるだろう。電話ができるということは管理人室か。管理人室は進藤の部屋の真下だから進藤の部屋から行き来したとかもありうるな。
  • リダイヤル
     高木の部屋への電話は最初に名張純江に割り当てられた部屋、ゾンビの侵入に備え空き部屋にした部屋からかかっていた。言われてみれば2階の東側の2部屋はゾンビも人もいない犯人にとって最も都合のいい部屋だったと言える。例えば名張の部屋で殺人の準備をする際に向かいの部屋にいる進藤に見られたから殺した・・・・・・とか?
  • 進藤の部屋の掛け布団の裏にある血痕
     剣崎さんはこの血痕から進藤殺しの謎が解けたらしい。何もわからん。教えてくれ。

 とりあえずここまで読んだ。
「何も分かりませんでした」って言えばいいのにこんなに長い文章になるんや。

屍人荘の殺人 - 今村昌弘|東京創元社

屍人荘の殺人 神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、いわくつきの映画研究会の夏合宿に参加するため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。